山村は煙草を灰皿に落として最後の煙を吐き、睨むように私を見据えた。
どうやら今までの話は序章で、ここからが本題のようだ。
「新田さんの話ぶりと、この間のあんたの話から判断して聞くけど。あんたの別れた彼氏って、新田さんなの?」
「違う」
別れた彼氏は舟木直弘だ。
即答はしたけれど、新田主任とやましい関係だった私は目を泳がせてしまった。
「本当に?」
「嘘じゃない。ていうか主任、結婚してる」
「知ってるよ。でもその上で聞いてるんだ。あんたと新田さん、何かあるはずだよ。確信してる」
最悪だ。
私の正体どころか、主任との関係までバレるなんて思ってもみなかった。
何事もそつなくこなし、嘘をつくことにも慣れていて、抜かりがない。
そんな私と新田主任だからできた、スマートで刺激的な関係だったはず。
バレそうになったり私に好きな人ができたらスッパリ関係をやめる。
そういう約束だったし、もしミスをするなら私の方だと思っていた。
まさか新田主任の方が取り乱すなんて、考えたこともなかった。



