山村と何があったのだろう。
あいつは何をしでかしたのだろう。
私はグラスを持ってデスクを拭き、片付けを済ませる。
山村は後で連絡すると言っていた。
会社のメールにではなく、プライベートのLINEにだ。
主任の悔いるような顔。抱擁。キス。
商談のもつれだけであんなふうになるとは考えにくい。
まさか、二人は私のことで揉めたのではあるまいな。
給湯室の流し台で麦茶のグラスを洗う。
ふと手元に衝撃を感じて、反射的に手を引いた。
ピシッと変な音がして、グラスが流し台に落下する。
ただ洗っていただけなのに、グラスが割れてしまったのだ。
反射的に手を引いたのは、鋭利になったガラスが私の指を切り付けたからだった。
間もなくして洗剤の泡と鮮血が混じりだす。
もったいつけるように遅れて痛みが走り、全身に鳥肌が立った。



