「新田はまだミーティングルームですか?」
そう尋ねると、山村はより険しい表情になった。
商談が難航しているのだろうか。
まとまらないまま帰社するのだと、雰囲気でわかる。
山村は私の問いには答えず、ただ一言。
「後でLINEする」
そう言ってそそくさと去っていった。
LINEだなんて、私たちに個人的な関係があると暴露しているようなものじゃない。
送るなら、勝手に送ってくればいいのに。
「真咲ちゃん」
堀口さんが私を呼ぶ。
「……はい」
「LINEって?」
ああ、はやり彼女が聞き逃すわけがなかったか。
「いや、あの」
堀口さんがとても楽しそうな顔をしている。
根掘り葉掘り聞くぞという圧を感じる。
「山村くんと付き合ってるの?」
「ま……まさか!」
「あらあら。これからが楽しみね」
「これからって、絶対そんなことにはなりませんから」
「照れなくたっていいのよ」
照れじゃないから! 本気ですから!



