私たちはオシャレなバーと居酒屋で迷って、居酒屋に入った。
美男子と入るならバーの方が雰囲気を楽しめるのだが、山村といい雰囲気になっても仕方ないと思って、私から居酒屋の方がいいと申し出たのだ。
カップルと思われた私たちは個室に案内されたのだが、その個室がバー以上にいい雰囲気で、私は己の選択が失敗であったことを悟る。
座席は対面ではなくL字型のカップルシート。
山村との距離が、近い。
「生でいい?」
「うん」
「すみませーん。注文いいですか」
山村は女性をリードすることに慣れているようだ。
吊るされた照明が彼のまつ毛の影を頬に落とす。
悔しいけれど、カッコいいし色気がある。
この頬に触れてみたい。
どんな感覚がするのだろう。
どんな顔をするのだろう。
不埒な想像を膨らませてしまう前に思考を遮るべく、私は悪態をついた。
「なんかムカつく」
山村の顔がこちらを向いた。
罪な照明によって瞳に光が増し、ドキッとしてしまった。
「何が?」
何がって、どんなに嫌っても私の心を惹きつけるあんたが、だ。
「私、ちょっと前まで別の男といたのに、どうしてあんたと二人で飲んでるんだろ」



