私は猛スピードで屋内へ戻って部屋着を脱ぎ、夏らしい生地のマキシ丈ワンピースを身に着けた。
それから簡単にメイクを施し、まだ濡れている髪にオイルをなじませドライヤーを当てる。
しっかり乾かしている時間はないので、半乾きのままスイッチオフ。
歯を磨き、日除け兼冷房対策の麻地ブラウスを羽織る。
少し迷って、お気に入りの香水をワンプッシュ纏った。
山村が相手なのだからそこまで気合を入れなくても……と思ったけれど、やはり彼にも私はイイ女だと思われたいと思い直した。
財布とハンカチ、そしてスマートフォンだけを入れた小さなバッグを持ってサンダルを履く。
エレベーターで地上へ降りると、山村は影になっている右側の壁に寄りかかって私を待っていた。
「お早いご到着で」
「待ち足りなかった?」
「俺のためにもっと気合い入れてめかし込んでくれてもよかったんだよって意味だよ」
「そんな必要ないから。これじゃご不満?」
「滅相もない。来ていただけるなら、俺はスッピンでも何でも構わない」
山村は片方の手に私が落とした缶を持ったまま、もう片方の手を差し出してきた。
「この手は何?」
「また繋ぎたいなと思って」



