彼と顔を合わせても私はプイッと顔を背けてばかりだったから、じっくり彼を見るのは初めてかもしれない。
やっぱりカッコいいなと思ってしまって、自分を呪いたくなる。
山村は小学生の頃から、もろに私のタイプなのだ。
すぐそばの道を歩いているけれど、山村がこちらを見上げる素振りはない。
それどころかポケットからスマートフォンを取り出していじり始めた。
なーんだ。ドキドキして損した。
一人で勝手に興奮して一人で勝手に拍子抜けしただけなのだが、ふてくされた気持ちで缶に口をつける。
……が、なかなか中身が口に入ってこない。
缶を横に振る。
ちゃぷんと小さく音がしたが、ほぼ空だ。
いつの間にか飲み干していたらしい。
私はここで、重大な失敗をした。
缶を振ったのがいけなかった。
空になった缶は私の指をスルリと滑って、あっという間に地面へと引き寄せられていった。
「あっ!」
声を出したコンマ数秒後、カコンと軽い音が鳴った。
缶は山村の数メートル前に転がっている。
驚いて足を止めた山村の視線は、必然的にこちらを向いた。
隠れたって無駄だ。
私と山村は数秒間、無言で見つめ合った。



