ここが都会の街中でよかった。
私たちの間に流れる思い空気は雑踏によってかき混ぜられ、喧騒が私の声を溶かす。
行き交う人々は私たちには無関心だ。
だけど、私の言ったことが彼の耳に届いている限り、なかったことにはならない。
「嘘って何?」
舟木の整った顔が歪んでいる。
私がしばらく黙秘すると、舟木は焦れて声を荒げた。
「なぁ、嘘って何だよ!」
何もかもが嘘なのに、いちいち「これが嘘です」「あれが嘘です」とは説明できるわけがない。
これはもうダメだ。
舟木との関係をこれ以上続けられない。
きっと彼のことを好きになると思っていたけれど、もう無理だ。
あかりが嫌いだと口に出す男を許容できるほどの器は持ち合わせていない。
やっぱり私に恋愛は向いていなかった。
こんな男、もうどうでもいい。
「最初から、全部が嘘だよ」
本当のことを吐き出すと、心がちょっぴりスッキリした。



