「もういい。わかった」
聞いていられなくなって言葉を遮った。
ここで止めなければ、延々と続けそうだった。
このままあかりへの侮辱が続くと、さすがの私も感情を抑えられなくなるような気がする。
未だかつて、これほどの憤りを覚えたことはなかった。
冷静に、冷静に。落ち着け、私。
そう自分に言い聞かせるけれど、口が勝手に言葉を発する。
「直くん、あの二人の何を見てたの?」
どうしよう。
止めたくても止まらない。
「男を立てる? 女は男がいつでも気分よくいられるように、ずっと気を使ってなきゃいけないってこと?」
「そういうわけじゃ……」
舟木は「ない」とは言い切らない。
「男女のあり方なんて、人それぞれだよ。あの二人はすごく幸せそうだった。素直になれないあかりと気持ちを繋ぐのに必死な拓馬くん、お互いが一生懸命で素敵だと思った。私、うらやましい」
「あれがうらやましいって? さすがに冗談だろ?」
舟木がバカにしたように笑う。
ダメだ。
口が勝手に余計なことを言いそう。
「バカみたい。自分の価値観でしか世界を見られないから、私の嘘にも気付かないんだね」



