「二人の馴れ初め、聞かせてよ」
私のリクエストに、二人は照れた顔を見合わせた。
「馴れ初めって言われても、あたしたち幼馴染みだし、大してロマンチックなこともないんだけど」
あかりがそう答えると、拓馬くんがすかさずフォローを入れる。
「いやいや、そんなことないでしょ。俺たちにもあったよ、ロマンチックなこと」
「ちょっ……! 余計なことは言わなくていいの!」
こんなあかりは新鮮だ。
私は彼女を無視して拓馬くんに微笑む。
「余計なことなんかじゃないから、私たちにも聞かせて?」
「うーん。物心ついた時からずっとお隣さんだったから、どこから話せばいいかな」
「拓馬、話さなくていいから!」
「ええー、聞きたいのに」
私は生まれ持った顔とともに故郷や友人を捨てて新しい自分になった。
捨てたものに未練はないけれど、こういう話を聞くと羨ましく感じる。
「幼馴染みといえば、小さい頃に“大きくなったら結婚しよう”とか約束してたりして」
私は冗談で言ったつもりなのだが、二人は揃って顔を赤くした。
どうやら図星だったようだ。



