舟木の態度には違和感を覚えたけれど、そんなことよりあかりと婚約者に会えたことが嬉しくて、楽しい。
ただ、今日はお互いの彼氏と同席しているから、普段あかりといる時のノリで本音をうっかり口に出したりしないよう気を付けなければらない。
間もなく料理が運ばれてきた。
あらかじめ予約していたランチのコース。
一品目は前菜3種盛り合わせだ。
「あ、トマト……」
拓馬くんが小さく告げると、あかりがさも当然のように彼の皿から自分の皿へとトマトを移した。
「ごめん。予約するときにトマト抜いてもらうの忘れてた」
「ううん、大丈夫。ありがとね」
この二人のやり取りに、私は妙な感動を覚えた。
なんて自然体なのだろう。
二人は幼馴染みだそうだが、これが時間をかけて育まれた嘘のない関係なのか。
「あかりちゃん、綺麗に食べるね。俺、ナイフとフォークでサラダを食べるの未だに苦手だよ」
「箸もらう?」
「ううん。このまま頑張る」
拓馬くんはちょっと頼りない。
黙々とスマートに食べる舟木がいかに洗練されているかがわかる。
だけどあのあかりが男に媚びもせず自然体でいられるのは、彼が変に格好付けたりしないからだろう。



