ライアーライフスタイル


少し進むと、壁際の四角いテーブルに並んで座っているあかりを見つけられた。

彼女も私に気づき、笑顔で手を振る。

隣にいる男性が噂の婚約者だろう。

二人が立ち上がり私たちを迎えてくれた。

「初めまして。松中拓馬(まつなかたくま)です」

あかりの彼がぺこりと頭を下げる。

こう言っては失礼かもしれないけれど、本当に普通の青年だ。

特別背が高いわけでもないし、抜群に顔が整っているわけでもない。

爽やかで、優しそうで、温かい雰囲気を醸し出している。

まだ20代前半ということもあり、少年っぽさが残っていて、あかりを口説き落とすのに一生懸命頑張ったのだろうことが容易に想像できた。

彼の弟的な雰囲気とあかりのお姉さん的な雰囲気が見事にマッチしている。

あかりの今までの彼とはまったく違うタイプだけれど、二人はお似合いだと思った。

「初めまして、あかりの友人の弦川真咲です。そして私の彼の……」

「舟木直弘です。どうも」

「樋川あかりです。真咲からお話はうかがってました。今日はお時間をいただいてありがとうございます」

あかりが愛想よく言葉をかけるが、舟木は「そうですか」とだけ応え、口を閉じた。