そう告げた私の声は、低く震えていた。
震えだけでも止めたいけれど、力を抜けばきっと泣いてしまう。
「それは……」
山村は悔しげに顔を歪める。
「生きていくには嘘が必要なの。恋愛にだって必要なの」
真実をさらけ出すのは、素っ裸で出歩くようなもの。
無様で無防備で、すぐに傷がつく。
へこんで、えぐれて、削られて、どんどん鋭くなって、いずれ人を傷つける。
だから私は嘘を上手に使って生きていく。
嘘で自分を飾り、守り、愛し、自分が傷つくことも、人を傷つけることもないように。
そんな快適なライフスタイルのヒントを与えてくれたのは。
“だってつる子、ブスじゃん”
この言葉で私を深く傷付けた山村なのだ。