「人の恋愛に首突っ込んで勝手なこと言ってるのはそっちでしょう?」
「それはそうだけど、この年になると恋愛は人生を左右するのはわかってるだろ。あんたは本気じゃなくても、相手の男が本気だったら男として一番輝ける時期を丸々棒に振ることになるんだぞ」
いつも何を言っても軽くあしらうのに、珍しく熱くなっている。
彼が言っていることは正しい。
だけど私は、嘘をついている私を求められて舟木と付き合っているし、それに応えているだけだ。
不誠実に付き合っているつもりはない。
この応え方は間違っているかもしれないけれど、だからってどうして山村なんかに説教を受けねばならないのだ。
今までどれほど素晴らしい女とどれほど美しい恋愛をしてきたか知らないけれど、真実を突きつけることで私を深く傷つけた山村なんかにそんな資格はないはずだ。
私は舟木を傷つけないために嘘をつき続けている。
結局山村由貴という男は、傷口に塩を塗っては何度も私を傷つけるのだ。
「うるさい。大きな声出さないで。どうしてあなたに干渉されなきゃいけないの?」