それからいくらか言葉を交わし、電話を切った。
私は清廉潔白な彼女を演じられていただろうか。
……ちょっと待って。
私は帰路でたまたま取引先の営業マンに出会い、送ってもらっているだけだ。
それなのに舟木に罪悪感を覚えるのはおかしい。
電話をしている間に、私たちはアパートの前へと到着していた。
山村は何か言いたげな顔で私を見ている。
私はあえて自分から言葉を発した。
「また嘘ついてるって、言いたいんでしょ」
山村はそんな私を鼻で笑う。
「今の、彼氏なんじゃないの? あんた、彼氏にまで嘘つきまくってんの?」
図星を突かれ、私は言葉に詰まってしまった。
さっき私が発した言葉から、彼はいくつもの嘘に気づいている。
「最初は自己防衛のためだったの。でも今さら本当のことなんてどう切り出していいかわからないし、その必要があるとも思ってない」
舟木に見せるために作っていた私像を守るためには、このまま嘘をつき続けるしかないのだ。
「付き合ってんのに、そんなんでいいのかよ」
「別にいい。嘘を突き通す覚悟はできてるし」
「あんたの彼氏に同情するよ。もう一度聞くけど、男を騙して楽しいか?」



