山村ならまあいいか、と思った。
仕事上の関係があるから下手なことはしないだろうし、仕事に対して誠実であることはすでに知っている。
それに、うちは女性専用のマンションだ。
住人の来客であれば男性も入館OKということになってはいるが、女性専用を理由に入り口でお引き取りいただける。
「じゃあ、建物の前までお願いできますか」
私がそう言うと、山村はにっこりと微笑んだ。
「喜んで」
この笑みが子供の頃を思い起こさせて、何とも言えない気持ちになる。
いつの間にか山村と普通に話せる関係になってしまった。
関わりたくないと思っていたのに、環境がそれを許さない。
何か大きな力が私と山村を引き合わせようとしているような気がする。
……というのは、きっと自意識過剰だけれど。
それにしても、つくづく私は彼女に向いていない女だなと思う。
彼氏の家からの帰り道を別の男に送らせているなんて、どんなビッチだ。



