互いの自宅が近い私たちは、必然的に一緒に歩き出した。
変質者の話を聞いたから、いつものように「一人で帰りなさいよ」なんて憎まれ口を叩く気にはなれなかった。
こんな奴でもいないよりはマシだ。
身の安全には変えられない。
「あのさ、つる子」
「違うってば」
山村はまだ私につる子だと認めさせることを諦めていない。
「……弦川さん」
「何?」
「今日はいちだんと可愛い格好してるね」
「そりゃあ、昨日からデートだったので」
いつも彼が見ているような、会社の制服や通勤時の格好とは違うに決まっている。
「昨日からって……デリカシーの欠片もないな」
「本当のこと言っただけでしょ?」
「あんたが好きだって、俺は何度も言ってるのに」
人通りのある歩道にもかかわらず、山村は堂々とそう言ってのけた。
私の胸が素直にドキッと反応する。
私は嫌いなのだから、そんなに好き好き言わないでほしい。
「私は好きじゃないし彼氏いるもん。変に気を持たせたくない」
「そういうの得意だろ。俺にも勘違いさせてよ」



