「お、その気になってくれた?」
口角を上げる山村をひと睨みして無視する。
山村には敵わない。
散々男を弄んできた美女としてのプライドが揺らぐから認めたくないけれど、私の過去を知る相手に強気に出られないという言い訳をして、無理に納得することにした。
「そういえば。あかりちゃんとはその後どうなったの?」
山村がそう尋ねてきたのは、彼の乗り換え駅まであと3駅というところだった。
あかりのことはずっと気になっていたから、動揺で繋いだ自分の手がピクッと震えてしまった。
「あれから連絡、取ってない」
「そっか」
あかりの結婚がどうなったか、私だって知りたい。
だけどあんな言い方をした手前、自分からは連絡しづらい。
私は余計なことを言いすぎたのではないだろうか。
もっと他に方法があったのではないだろうか。
あれから何度も反省したけれど、時間を戻すことはできない。
このまま一生あかりと仲直りできなかったらと思うと泣きたくなる。
胸が詰まってきて、無意識に山村の手をキュッと握りしめる。



