ぷいと彼から視線を外す。
山村が楽しそうにクスクス笑う。
冷たくしてもへこたれない。
察してフェードアウトしてくれない。
私を怒らせるのを楽しんで、嬉しそうに頬を緩ませる。
まるでかつて彼が好きな女の子にそうしていたように。
電車が次の駅で止まった。
人が流れ出て、そしてまた流れ込んでくる。
私の体は他人によって容赦なく山村に押し付けられる。
私は少しでも彼から離れたいのに、彼は待ったましたとばかりに私の体を受け止める。
何とか密着しないように体を傾けて山村を肩でガードしてみるのだが、彼は必死な私をあざ笑うかのように、堂々と私の腰を抱き、手繰り寄せた。
「ちょっと……」
抗議する間もなく、抵抗は無意味だと言わんばかりにギュッと手を繋がれた。
指と指を絡めた、いわゆる恋人繋ぎだ。
ごく自然にそんなことができるのが、不思議でならない。



