午後10時半過ぎ、新宿で下車。
待ち合わせは二人でよく行く小料理屋だ。
三人目のお相手こと舟木(ふなき)は、いつものカウンター席で一人で飲んでいた。
「お待たせ」
横の席に座り声をかけると、既にでき上がっている彼はだらしなく微笑んだ。
「待ったっつーんだよ。もうすぐ11時だわ」
彼とは同い年なのもあって、お互いに遠慮のない言葉で会話ができる関係だ。
「ごめんね。金曜日だからか、なかなか帰してくれなくて」
「女子会ってそんなノリなの?」
「うん。今日は特に飲める子が集まっちゃったからかな」
彼にはあらかじめ、「女友達に祝ってもらってから行く」と言ってあった。
彼はそれに了承しているし、微塵も疑っていない。
「次回は彼氏いるって言って抜けてこい」
「そんな嘘はすぐにバレるの」
「だからもういい加減、俺と付き合えばいいだろ」
「ふふ、考えとく」
「あーもう、またそれかよ」



