「ねぇ」
山村が顔を近づけ、耳元で囁く。
「何?」
小声で不機嫌に返事をする。
「彼氏がいるって嘘? ほんと?」
「疑ってるの?」
この間「いる」と言った時は嘘だったけれど、真実にした。
“噓から出たまこと”ということもあるのだ。
「俺、それ信じないことにしたから」
「は?」
「だってあんた、嘘つきじゃん」
“だってつる子、ブスじゃん”
私が動揺することを狙って、あのセリフと同じ言い方をしたのはわざとかもしれない。
相変わらずいちいち腹が立つ。
それで私を好いているというのだから意味がわからない。
「好きにすれば? 信じようが信じまいが、私には関係ないし」
私だって、あんたの言葉なんか信じない。



