「浮かない顔してるね。どうしたの?」
あんたと出くわしたからに決まってるでしょう?
「は? 私、浮かれっぱなしですけど」
「そうは見えないな」
「目がおかしいんじゃない? 彼氏と楽しくLINEしてるの」
“彼氏”というワードに、山村の表情が微かに強張る。
しかしすぐに笑顔に戻った。
「ほう。それじゃあ俺は、それを邪魔するしかないよね」
「はぁ? ちょっと、見ないでよ!」
画面を覗こうとするから、私はやむなくスマートフォンをバッグへとしまう。
“邪魔するために覗く”という体で、山村が体をこちらに寄せてきている。
「近寄らないでくれません? 暑苦しいんですけど」
「俺は暑くても離れたくないな」
「うっざ」
「はは。弦川さん、やっぱ怒ってても可愛いよ」
この馴れ合いは何?
こんなの、仲よしの二人みたいだ。
これは山村の術中なのだろうか。
彼のコミュ力の高さが身にしみてわかる。



