舟木が待ち合わせの店に来たのは、午後7時半頃だった。
「お待たせ」
この暑い中、急いで来てくれたのだろう。
額に汗が滲んでいる。
「たまには私が待たなきゃね」
「そうだな。いつも俺が待たされてる」
舟木はそう言って笑いながら、手持ちのハンカチで汗を拭う。
そしておしぼりを持って来た店員に、ビールを注文した。
ここは可愛らしい内装が自慢の居酒屋だ。
いつもの小料理屋もいいけれど、こういう話をするなら個室がいいと思った。
「で、話って?」
舟木は仕事の疲れが顔に出ていて、気だるげに頬杖をつく。
どうせまたくだらない愚痴でも聞かされるとでも思っているのだろう。
「告白の返事」
私がそう告げると、急に真面目な顔になって背筋を伸ばした。
「え、マジか」
私をガン見して返事を待つ彼を、少し焦らす。
長い間、私の都合で返事を引き伸ばしてごめんなさい。
「こんな私でよければ、よろしくお願いします」
嘘で塗り固めた、私なんかでよければ。
舟木はとても嬉しそうに微笑み、安堵と歓喜のため息をついた。。
「ありがとう。嬉しい。待った甲斐があった……!」
こんなに喜んでもらえて、私も嬉しい。
私は嘘つきだけど、いい彼女になれるよう、私なりに努力してみるつもりだ。



