仕事を終えた私は、小柳の「今日ご飯行きましょうよ」とう誘いを断って会社を飛び出した。
ビルを出てすぐにスマートフォンを取り出し、着信履歴から彼へと発信する。
まだ仕事中なのか、彼はしばらく出なかった。
『もしもし? 真咲?』
「あ、舟木くん? ごめん、まだ仕事中だった?」
『うん。けどちょっとなら大丈夫。どうした?』
私は今夜、新たなステップを踏み出すつもりだ。
外見ばかりで中身のないモテ期は近い将来終わりを迎える。
気に入れば媚びる女から、ステップアップするべき時が来た。
「話があるの。今夜、会える?」
私だって、一度くらい誰かと真面目に付き合ってみたい。
彼氏がいない歴に、今日終止符を打とう。
私はその初めての相手に、山村ではなく舟木を選んだ。



