彼の言葉に全身が強張った。
心臓が嫌な感じに動きだす。
「まさか」
鼻で笑いながら嘘をつく。
「そうか」
うまくいった。
動揺は伝わっていないはずだし、声が震えたりもしていない。
私はミーティングルームへと足を動かす。
彼はそれ以上追及しなかったし、追っても来なかった。
どうしてわかったのだろう。
どこがいけなかったんだろう。
初めて新田主任と繋がったあの日、私は精一杯経験者を演じたのに。
痛みは我慢したし、それほどでもなかった。
血が出たりもしなかった。
それでも男にはわかるものなのだろうか。
弦川真咲、26歳。
独身、彼氏なし。
彼氏いない歴は年齢と同じ。
経験人数は新田洋輔ただ一人。
そんなこと、誰にも言えない。
だから私は嘘をつく。



