ここ最近、私の胸の中では黒い好奇心が燻っている。
私を失ったら、彼はどうするのだろう。
私が惜しいと縋るだろうか。
それともさっさと次の女を見つけて、また身を削り合うのだろうか。
その答えを見てみたい。
「私、好きな人ができたの」
私がそう告げると、彼は驚いたような顔をした。
私たちは、私に好きな人ができたら別れることになっている。
「……へえ、どんなやつ?」
「イケメンだよ。仕事もできるみたいだし」
「俺より?」
「違う会社の人だし、そこまではわかんないよ」
いつかは彼と別れるつもりだったけれど、今日そうする予定はなかった。
ただ、好奇心が膨らんだだけなのだ。
彼に不満があったわけではないし、本当に好きな人ができたわけではない。
「その人、主任とは絶対的に違うポイントがあるの」
「何?」
「独身で彼女なし」
「あっははは。そりゃ敵わねぇ」
主任はおかしそうに笑った。
「だから、主任」
「わかってるよ」
少しは動揺してほしかった、というのが本音だ。
さすがは新田洋輔だと言うべきか。
彼は私が憧れていた通りの、大人の男だった。



