その言葉を、彼の口から聞いてみたかった。

聞けたらきっとスカッとすると思っていた。

とびきりの優越感に浸れて、過去のことを少しは許す気になれるかもしれないと。

だけど今、私が胸に感じているのは、山村が思い通りにならない憤り。

因縁の相手に恋愛関係を望まれることへの困惑。

そして、山村に美しいと賞賛されたことへの喜びと感動だ。

こみ上げた感情は目頭を熱くして、止める間もなく心の汗が漏れる。

整形以来、綺麗だなんて言われ慣れている。

そのはずなのに、こんなにも胸を打たれている自分が嫌だ。

山村の前だと、私はすぐにミスを犯す。

私を好きだなんて、どうせ嘘に決まっている。

私が整形美人であることにも気付いているはずだし、嘘つきな性格もバレている。

こんな女を好きになるはずがない。

山村はかつてのように、自分の弱みをちらつかせて私の同情を誘い、私を罠にかけようとしているだけなのだ。

だから私は、まだ彼を許さない。