「私は誰かに必要とされているのだろうか」
そうぽつりと漏らしたところ、誕生日を一緒に過ごした最後の男、舟木がこう言った。
「俺が必要としてるだろ」
本来ならとても嬉しい言葉なのだろうけれど、彼が求めているのは嘘で塗り固めた私だ。
演じている彼好みの私を気に入っているだけであって、本当の私を必要としているわけではあるまい。
それをわかっている私は、今日も彼好みの女を装ったセリフを返す。
「どんな風に必要としてくれてるの?」
期待通りの返しだったのか、舟木は満足げに微笑む。
「真咲に癒されたい」
「癒すの? 私が?」
「つーか、真咲に入れたい」
「……何を」
「言っていいのか? こんなところで」
「ダメ。雰囲気台無し」
今日は舟木の誘いで小洒落たイタリアンレストランに来ている。
結局穴かよ。
内心呆れつつ、この会話を楽しんでいるフリをして白ワインを一口。
芳醇な甘味と酸味がささくれた心を潤してくれた。
「真咲に入れて癒されたいよ」
解せない。
快感を得るという目的はわかるけれど、あんなに汗をかく行為のどこに癒し効果があるというのだろう。



