自分の血の気が引く音が聞こえた。

止まらなかった涙がピタリと止まる。

「……え?」

山村は感情の読めない不思議な表情を浮かべた。

悔しげに眉間にシワを寄せているのに口角は上がっていて、漏らした笑いは安堵にも自嘲にも聞こえた。

「卒業アルバムを全部見たけど、あんたの名前は見当たらなかった。ネットで検索してもヒットしなかったし、SNSで検索しても、あんたらしいアカウントは見つけられなかった。もう興信所に頼むくらいしか思いつかなくて、思い出すことを半ば諦めてたんだ」

まだ……まだ望みはある。

彼はまだ、私の正体が何者であるかを口に出していない。

彼の答えが間違っている可能性だってあるのだ。

「でも、たった今思い出した。その泣き方でわかった」

泣き方?

私が特徴的な泣き方をしたとは思えない。

彼に泣き顔を晒したのは15年も前だし、当時とは顔が違う。

誰か他の人と間違えて……



「あんた、つる子だろ」