私たちは食事を終えて、公園内のランニングコースを散歩することにした。
日が高くなって気温が上がり、さらに湿度も高い。
この公園のコースには緩急さまざまな坂があって、じっとりと汗をかいてきた。
「暑い! 帰ってシャワー浴びたい!」
「それより水! 水飲みたい」
ちょうど駐車場の脇に自販機があるのを見つけ、それぞれ冷たいミネラルウォーターを購入して飲めるだけ飲む。
生き返るような気持ちで一息ついた時、後ろから聞き覚えのある男性の声がした。
「弦川さん?」
条件反射で振り向く。
そこにいたのはランニングウェアを身に着けた山村だった。
髪が汗でしっとり濡れており、それを首に巻いたタオルで拭っている。
近所に住んでいるとはいえ、いくらなんでも遭遇しすぎなのでは。
「山村さん!」
たぶん、自販機の商品がよく見えるようにと、サングラスをカチューシャのように上げたのがよくなかった。
かけたままにしていれば、私だと気付かなかったかもしれないのに。
私が口に出した名前に覚えがあるあかりが、サングラス越しに彼を凝視する。
「こんなところで、奇遇ですね」
お得意の爽やかな笑顔を惜しげもなく向けてくる。
私に会えて嬉しいという感情を隠しもしない。
「そうですね。山村さんは走り込みですか?」
「はい。最近太りやすくなっちゃったので、運動しないと」
腹をさすってみせるが、全然太っていない。
汗をかいている姿も様になっていて腹が立つ。



