私たちのベンチ周りだけが重苦しい空気に包まれる。
浄化するように爽やかな風が吹くが、彼女の表情はなびかない。
「真咲、結婚式に呼べるような友達って、いる?」
「あかりだけ」
「あたしも、真咲だけなの」
私は敵を作りやすい性格で、女友達を作ることを半ば放棄している。
女とは上手に付き合えないからだ。
でも、それを不便に思ったことはない。
私にとって、ほとんどの女は敵だった。
そしてそれは、あかりにとっても同じだ。
「あたし、披露宴やりたくないの。だって呼べる友達、真咲以外にいないんだもん。だから海外に飛んで、お互いの家族だけで結婚式をやって、日本では親戚に挨拶だけ……って形にしたい」
それは理解できる。
披露宴で新婦側の来賓が勤務先の人たちと私だけでは、あまりに格好がつかない。
しかし、彼の希望はあかりの希望には沿わなかったようだ。
「彼は地元の式場に友達をたくさん呼んで、盛大にやりたいみたい。そりゃそうよね。彼は私と違ってみんなに好かれてて、友達もたくさんいるんだもん。結婚するなら、みんなに友達に祝ってほしいよね」
昨日、『あたしなんかと結婚したら、あいつが不幸になる気がする』といった理由がようやくしっくりくる形で理解できた。
あかりは自分のせいで、彼が祝福されるという幸福を奪うことを懸念している。



