私はすぐに踵を返した。
すると、私と同じようにテラスのそばから覗いている女がいた。
私が足音を立てたことで、彼女も私に気づき、自然と目が合った。
彼女も美しいが、彼女も中の美女たちとは違うのだと、すぐにわかった。
彼女はきっと、私と同じタイプの女だ。
そしてそう思ったのは、彼女も同じだったらしい。
そう。彼女こそが、樋川あかりだったのだ。
「中に入らないの?」
私が尋ねると、あかりは不敵に笑った。
「入らない。友達になれそうな人、いそうもないし」
私たちはその場で意気投合して、駅近くのカフェチェーン店に入った。
「あそこにいた人たち、みんなピュアっぽくて。あの中に入るのは無理だなって思ったの」
「わかる。観賞されて褒められるだけの花って感じ。その美貌を使って得をしてやろうとか、のし上がってやろうとか、まったく考えてなさそうだった」
「そうそう。苦労せずに心も綺麗なまま育ってきた人たちなんだろうね。幸せそうでうらやましいわ」
「でも、あたしたちを誘ってきたくらいだから、人目を見る目はないんじゃない?」
「見る目がなくたって、こうやって私たちが避けるから問題ないんでしょ。ああいう人たちのことを、別世界の住人って言うんだと思うの」
話せば話すほど気が合った。
嘘で塗り固める必要なんてなかった。
この日、あかりは私にとって唯一無二の大親友になったのだ。



