友達に気の利いたことが言えない不器用さは、「つる子」のままだと痛感する。
ブスだった私には友達と呼べる存在があまりに少なくて、誰かを励ましたり勇気づけたりする機会に恵まれなかった。
というより、卑屈になっていた私は、友人関係をよいものにする努力を根本的な部分から怠っていた。
「気の利いたことが言えなくてごめん。代わりに、主任が言ってたことを話してもいい?」
「主任って、奥さんがいる真咲の彼?」
私は首を縦に振る。
彼の結婚を破綻させる要因になりかねない立場から偉そうなことは言えないが、先日主任が言ったことは、あかりの胸に届くかもしれない。
「主任、幸せだって。私と不倫してるくせに、笑っちゃうけど。奥さんのこと、神々しく感じるくらい愛してるって」
だからあかりも、今までと違う生活から得られる幸せを掴めるのではないだろうか。
あかりの婚約者だって、そんなあかりとの幸せな未来を想像できたからプロポーズしたはずだ。
「そっか。あんたの彼、ゲスなくせに幸せなんだ。だったら私も幸せになれるかも」
あかりはそう言って、呆れたように笑った。



