あかりは決まりが悪そうにマットレスの上で膝を抱えた。
「やめるって……どうして」
「別に、トラブルがあったりとかはないんだけど。あたしなんかと結婚したら、あいつが不幸になる気がするんだよね」
私の口からは、素直に思ったことが出て言った。
「らしくないじゃん」
あかりはいつだって自分第一で、自分がよければ他人が不幸でもOKというタイプの女だ。
結婚をやめると言うのなら、きっと年下サラリーマン婚約者の収入が歴代のハイスペック彼氏よりずっと低いのを不安に感じたのだろうと思った。
自分ではなく彼のことを考えて結婚をやめるだなんて、これまで私が見てきたあたりを思えば信じられない発言である。
「あたしも、本気の指輪を突きつけられて舞い上がってたんだと思うんだよね。プロポーズなんてされたことなかったし。でもさー、結婚って今後一生を左右する大決断じゃん? 指輪一個にほだされてするもんじゃないよね」
あかりはヘラヘラ笑いながら、早口で一気に捲し立てた。
本心がまだ見抜けていないので、下手に口を挟めない。
代わりに手に持っていた甘い缶チューハイを一口すする。



