*駄菓子屋



『おばちゃん、おばちゃん、おらんの〜?』



知り合いの家と言っていたヒロ…だが、ここは…どう見ても…駄菓子屋さん。



『はいはい。いるよ〜って。あら、ヒロちゃんやないの。どしたん?』


そう言って、家の奥から、40代くらいの綺麗な女の人が出てきた。


『あぁ、おばちゃん、実は、この子転けてしもうたみたいで…救急箱貸してくれへん?』



女の人は、私をちらりと見ると、ニコリと微笑んだ。



『まぁ、まぁ、大丈夫?今、持ってくるから!ちょっと待っててね』




パタパタと軽やかな足取りの女の人は何故かすごく嬉しそうに見えた。




『ちょっと、しみるかもだけど…我慢してね』



『っ!』



痛い、痛い。オキシドール…しみる!!



手際よく女の人は、私に手当てをしてくれた。




『ふ〜、ひとまず、これでいいわね…それにしても…ヒロちゃん、このかわいらしいお嬢さんは誰かな……ヒロの彼女?』



え?か、彼女って…



私は、慌てて否定した。
ヒロみたいなイケメンの彼女が私だなんていくら事実じゃないとしても申し訳なさすぎる。



『ち、違います!!ちょっと助けもらっただけで…』



『え〜、そうなの?』



女の人は、綺麗な顔を軽くしかめながら言った。




『え〜?そんな否定せんでも…。傷つくわ。オレ、結構、美夏ちゃんのこと気に入ってるんやで?』


ニコリと、微笑むヒロに私は、瞬時に顔が赤くなる。




『え?そうなん!?じゃあ、ヒロは、この子のこと好きなんやね?きゃ〜青春やわ〜』



バタバタと腕をふる女の人は、楽しそうにそう言った。