「あの、…どうかされましたか?」 俺はさりげなく声を掛けてみた。 彼女は突然話しかけられたので、驚いた様子。 慌てて涙を拭い、‘何でも無い’と言う。 何でも無いワケない。こんなに泣き崩れるほど、泣いていたのに。 俺は気になり、しつこく聞いた。それでも彼女は何でもないと言う。 俺は衝動的に彼女を抱きしめた。 あまりの突然のことで、固まっている彼女。 見知らぬ男が話しかけ、急に抱きつけば…これは完璧な “ 犯 罪 ” 俺は必死に取り繕った。