「恨み…ねぇ。あいつ…ハルカがことごとくおれの前を邪魔するんだよなぁ。」
「じゃ…ま?」
「ドラマだって、映画だってそうだ。W主演の予定だったものですら、公開するときにはやつの名前しかデカデカと発表されない。」


男は自分の爪を噛みながら続ける。


「今回のCMだってそうだ。あいつのほうが待遇いい話だった。好きな女もあいつにとられるし…」
「お…女?」


男がハッと我に返った。
ちょっと口走りすぎた、という雰囲気だ。
しかし思い直したようにあたしにこう言った。


「おれはハルカに何度も女を寝盗られてんだよ、理佐ちゃん」