「ごめんください」 毎日毎日、店の戸が開く度に。 貴方様が訪ねてきて下さったのかしら、と叶う訳の無い無駄な期待をしてしまう。 長い髪を一つに束ねた細身の男性の背中を見ると、必ずと言っていいほど、貴方様の顔を思い浮かべるわたしは、 まだ、逃げられない。