「ありがとう……、ありがとう」


感謝の言葉が口から漏れた。


心の奥、一番深いところから突き上げるように感情が湧き上がってくる。

身体が震え始める。


僕は、この世界を信じられず、僕自身を信じられず、目を背け、ひたすら逃げ続け、自らが創り出した嘘の世界に閉じこもり、あげく死んでしまおうとまで思っていた。

この命を終わらす権利は、僕自身のものだと、うそぶいて。


傲慢じゃないか。


ローサの想いを知ってからは、彼女のために、彼女の想いに答えるために生きていこう、そう思っていた。


傲慢じゃないか。


僕は、傲慢だ。


肩が、腕が、指先が震える。


謝りたい、彼女にもう一度会って、謝りたい。

抱きしめて、謝りたい。

感謝したい。

笑顔がみたい。


ありがとう、ありがとう、ありがとう……。


もう言葉にならなかった。

痛みにも似た震えが、身体全体を覆う。

両目からは涙が溢れてきて、止まらなかった。