鼓膜を破るような笑い声。
耳を押さえる前に、その奇声紛いの笑いに、判断する脳を真っ白にさせられた。
紛れもない、伯母だ。
十三歳のあの時から変わっていない、狂った伯母だった。
いや、老いすぎたその容姿でより恐怖をはやし立てる。
大口を開けて笑う伯母には歯がなかった。何本か、申し訳なさそうに生えるものはあったが灰色になり壊死しているとなれば、もはや歯と言える代物ではあるまい。
唇はカサカサに乾燥し、大口を開けたことでぶちぶちと裂けて血が出ていた。
下唇からの血が口に入り、上唇の血は鼻に入っていくそんな逆向きの光景。
「伯母さん……伯母さん……!」
鼓膜ごと心までその笑い声に裂かれてしまうと渉は伯母を呼んだ。


