中途半端だ、本当に。幸せにも不幸せにもなりたいだなんて。


しかして、肝心な部分を言ってないあたり、渉は短い間でもなるべくは“幸せより”に生きたかったのかもしれない。


二十歳までしか生きられない。


ついぞ、言えなかったこと。阿行には前にちらりと話した気がするが、本人は意味すらも理解できずにもう忘れているはずだろう。


このことをまた改めて阿行に、初めて冬月たちに、話したところの絵が悲惨でしかないと分かっていたからこそ、渉は話せずにいた。


彼らのことだ。「そんなことはさせない」と、躍起になって渉の呪いをどうにかしようとする。


それだけは何としてでも阻止しなければならない。レッドラインだ、渉の呪いを“どうにかしようとする”のは、確実に危険を招く。