私は直に伝わってきた郁斗の唇の熱のかけらに触れる。 自分の額を両手で押さえた。 変わるわけがない。 私に心変わりなんてないんだから。 私は唇を噛んで旬を見つめる。 ソファーの背もたれの上の面に後頭部をのせて天井を見上げている。 その姿さえも私の拍動は二倍の速さに変わる。 ドクドク、そんな音で。 やっぱり好きなの。 旬が。 私、相当落ちてる。 嵌まって、もう抜け出せない。 私は視線を転じて郁斗を見る。 いや、睨む。 絶対に、ない。 郁斗へ気持ちを向けるなんてことは。