コトン、
ぐっちゃぐちゃなテーブルの上にスペースを見つけてトレイを置いた。
私はタタタと駆け寄る。
「お腹減ったら食べてね?
それに集中力にはカカオがいいし、
ココア入れたからね。」
ふわり、柔らかな笑み。
う、うわーい!
いいお母さん過ぎるよ・・・!
私は気が緩んで涙が出そうになった目元を抑える。
「なんか俺ら、受験生みたいだな!」
ハハ!っと何の躊躇もなしにサンドイッチに食らい付いている修が言った。
「皆よく頑張ってるものね。
美里ちゃんも、最近テレビでよく見るわ」
「あ、本当ですか!
ありがとうございます!」
私はなんだか仕事スイッチが半分入ってしまって頭を下げた。
すると旬ママはうふふ、と上品に笑った。
「最後の力を出しきってね。
ファッションショーは明日みたいだけど、
卒業まであと一週間くらいだものね・・・。」
旬ママは眉を寄せてむむ、と俯いた。
・・・はぃ?
少しの間私は硬直した。
そしてワンテンポ遅れて旬ママの言葉を理解出来た。
「それじゃ、頑張ってね」
パアッと華のような笑顔を見せて、
ヒラヒラと手を振ってアトリエから出ていった旬ママ。
私はそれを見つめるしかできなかった。
首を傾げながら。
完全に扉がしまり、
私は目をパチクリさせた。
「・・・ねぇ、
卒業まであと一週間くらいしかないの・・・?」
私は下げていた視線を上げて皆を見た。
皆も固まっていた。
「・・・まじで?」
郁斗が顎に手を添えながら言った。
「卒業式って確か・・・
3月15・・・?」
要路がパラパラ手帳をめくる。
「あ、でも正確には一週間と6日だな。」
修がヘラリと言った。
私は目を見開き、口も開いた。
「あ、あと2週間弱しか・・・、
皆と学生でいられないってこと・・・?」
私の目は泳いでいるような気がした。
う、そだ・・・。
まだ、皆と居たいよ・・・。
アトリエで馬鹿みたいに騒いだり・・・したい。
今みたいな辛い状況でさえも、
何だか愛おしく感じるじゃんか・・・。


