そして10着を着こなし、最後のフラッシュが私達を浴びせた。
「はい、オッケー!」
カメラマンさんが親指をたててオッケーサインを出した。
「ありがとうございました」
私は最後まで笑顔を絶やさずに頭を下げ、
カメラの前から立ち去る。
すぐにケータイで時間をチェック。
3時15分・・・!
よし、巻けたー!
私は周りにばれないように小さくガッツポーズ。
私はまたもや高速で着替えて、笹島さんを待つ。
笹島さんは私が新人だからか、挨拶が多いみたいで。
私もだけど。
スタジオの前で待ちぼうけていると、編集長さんがひょっこり顔を出した。
あ、と私は少し後退。
「今日はありがとうございました!」
またもや一気に頭を下げる。
「うん、お疲れ様ー。
動きが早くていいね。
またよろしくねー」
そうニッコリと笑ってヒラヒラ手を振った。
私はもう一度頭を下げる。
顔を上げると笹島さんがこちらに向かっているのが見えた。
コツコツ、響きよくヒールの音が耳に心地いい。
「さあ、行きましょう」
「はい」
私は落ち着きを保ちながら頭を下げた。
そして車に乗り込む。
言いにくいながらも旬ママの営業するカフェに下ろしてもらった。
私もここで休んでいこうかな、
なんて零したもんだからびっくりしたけど、
事務所に少し仕事があるからやめとく、と颯爽と帰って行った。
私はふう、と胸を撫で下ろしてカフェの扉を開けた。
カランコロン、
そんな風に聞き慣れた心地好い音が耳をすり抜ける。
「いらっしゃい、美里ちゃん」
ニコ、そんな風な笑顔も日常で。
「今日もお邪魔します」
「はい、どーぞ」
私は一礼してからアトリエの扉を開ける。
開けた瞬間に耳に入るミシンの音。
あ、やってるな。
皆の姿が真剣で。
でもよくみたらくまがすごい。
「来たよー!」
ガガガガ、とその音が止まる。
「お、美里!」
修が軽く片手を上げた。
「私もやるね!」
私は早速昨日から作りかけのリボンを縫いはじめた。


