「もう9時だ。」
要路が時計を見つつ言った。
「うっそー」
私はリボンを縫い合わせていた。
「じゃあ美里は帰れ。」
旬が一瞬ミシンをとめて言った。
「え?」
私は少し聞き返す。
「誰送ってく?
俺行こうか?」
修もミシンをとめて言う。
んんん?
「俺行くよ。」
「いや、旬居ないと色々困るんだけど」
郁斗も手をとめて言った。
んんん?なんだ?
いつも旬が送ってくれて・・・、
というか皆一緒に帰っていた気が・・・。
「もしかして、私だけ帰るの?」
すると皆こっちをガッと見た。
「ああ」
すると旬が冷たい声で言った。
冷たい声、
というか何か・・・、心がない声。
疲れているんだろうな、そう思う。
私は何かポカンと口が開いた。
「え、なんで?
皆まだ作業するのに私は帰るってどういうこと・・・!?」
私は皆にカツカツ近づいて抗議した。
するとキッと旬が睨むように見た。
ビク、私は心臓が大きく伸縮した。
「バカか。
お前、睡眠時間なくなったら肌荒れるだろ。」
そう言った旬。
んぐ・・・、
それを言われたら何も言えないじゃんか・・・。
確かに7時間は寝ないと肌が荒れるけど・・・。
「・・・皆はどれくらいまでやっていくの?」
私は静かに聞いた。
「今日は・・・俺は12時くらいまでやるけど。
郁斗達は11時で帰ってもらう。」
旬は皆を親指で指した。
私はそれを聞いて眉をひそめた。
「それは・・・、皆に悪いよ」
「いや、大丈夫。」
少しフッと微笑まれた。
・・・私はその笑顔の意味が伝わった。
私に安心させようとしてる。
本当に、心配すんな、そんな顔で。
私は頷くしかない。
「・・・でも、送らなくていいよ。
皆作業に集中して?」
私はね、と首を動かす。
すると皆が顔を動かしてぐわっと見てきた。
私は怯む。
な、なに!
「それは絶対にダメ。
俺が行く。」
要路が口を開いた。
「ああ、頼む」
旬が頷きながらまたミシンをガガガガ動かし始めた。
え、え!?ダメ!
私の声は届かないようで完全無視されて、無理矢理に近い状態でアトリエから出た。


