二人の会話に聞き耳をたてる私。
「いつ来ても懐かしいな、
この会場は。」
「う、ん。そうですねー・・・」
影山さん、まさかのですます?
懐かしい、って、なんか昔に思い出でもあるのかな?
私が首を傾げていると、親切にも彩夏さんが耳打ちしてくれた。
「・・・二人はここで告白したの、だから思い出が深いの。」
「わぁ・・・それは。
ショーが終わった時に・・・みたいな感じですか?」
「ううん、違うわ。ドッキリでね」
ニヤニヤ、なんだか面白そうに笑う彩夏さん。
「ど、ドッキリですか・・・!」
「キスもしちゃったのよ?
あーんな大勢の前で」
ふふ、悪戯っ子みたいな笑いだ。
きっとドッキリを仕掛けるために彩夏さんも一枚噛んだのだろう。
ああ、だから前言ってたんだ。
大勢の人の前でキスしたって。
それはそれは・・・、恥ずかしいかも。
私は苦笑いしかできなかった。
それから影山さん達のお邪魔虫にならないように私達は退散した。
楽屋でバナナ一本とクラッシュタイプのゼリーを食べて、
それからメイクやらなんやらをこなす。
ふとケータイを見るとメールが着ていた。
旬だ。何だろう?
<飯、サンキュー。>
そう、絵文字もなしにその文があった。
けど、それだけで私の顔は綻んだ。
ああ、少しでも旬の役にたてたのかな・・・?
嬉しいな、がんばろう。
私は気を引き締めた。
それから刻々と時間は過ぎて、いつの間にか、
私はステージの舞台裏に来ていた。
衣装を着て。
「スカートはふわふわ揺らしてねー」
「はい、笑顔笑顔。
深呼吸ー・・・」
社員の皆さん数人がモデルを囲む。
「美里さん大丈夫?」
「はい。」
「緊張は?」
「・・・少し、だけ。」
「じゃあ深呼吸してみようか。」
すー、はー、すー、はー・・・。
ドキン、ドキン、
恋とは違う、鼓動のはやまり。
ステージ裏はまるで文化祭のときみたい。
「一分前ー!
咲田さん!」
まず、最初は私の出番。
ショーのスタートをきるのは、私。
大丈夫、大丈夫、いつもやってるじゃん。
大丈夫よ。
私はステージの脇に来た。
チラチラと見える客席。
人でうめつくされてる。


