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「……俺の負けだな」


 病室のベッド上で大口が呟いた。


「せっかく河村組と大塚会の連中を使って上手くやろうとしたんだけど、もうダメだね。俺がハセさんの転落死事件を利用して、北川や篠原、それに鐘ヶ江や酒見たちを動かしたんだけど失敗だったな」


「それはご自身が罪をお認めになるということで?」


「ああ。検察官がヤクザとつるむなんて珍しい話かもしれないが、実際そういったことを仕出かしたのも、後から考えてみると、つまらないことだったね」


 取調べ担当の検事の鈴木がICレコーダーを回し続けている。


 そしていったん立ち上がり、背後にいた堂本に、


「容疑者が落ちた。警察にも知らせてくれ」


 と言った。


「分かりました」


 堂本が立ち上がり、供述を起こしていたノートパソコンを閉じて、室外へと歩き出す。