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 通常の捜査一課の殺人捜査などとは違い、組対の扱う事件などはテレビなどでは流れない。


 いや、流れないというより流されないのだ。


 確かに今回の歌舞伎町の新宿興益ビルへのガサ入れも、主要メディアではほとんど報じられなかった。


 辛うじて河村組とそこにフロントとして付いている三嶋興業のことが新聞の社会面に載っただけで、後は何もない。


 河村組と三嶋興業は共同で、普段から対象となる企業等からミカジメを巻き上げたり、競輪場、競馬場、競艇場などに行き、ダフ屋のするようなことをやっている。


 俺たち組対も順次ネタを拾い上げるのだが、それが即捜査に結び付くわけじゃない。


 組対が扱う案件は実に地味だ。


 組対の警官たちは普段から身辺に気を付けている。


 対象者や団体等から恨まれ、まずいことをされるケースもあるからだ。


 実際、俺も警視庁公安部在籍時は右翼担当の公安第三課で、その手の人間たちを締め上げ続けていたので、恨みを買ったりしたこともかなりあった。