六花の約束



━「じゃあ、3日後。婚礼の儀を挙げよう」━

あれから実夏樹様の御両親に会って、そう決まった。

私は今…姫様に結婚のことをどう伝えるべきか、悩んでいる。

「日海?どうかしたの?」

「へっ!?いえ、なんでもありません…」

「そう、ならいいけど…」

姫様はもう寝る支度をされている。

今しか、伝えるときはない。

「姫様…」

「何?」

「私……許婚と結婚することになりました。3日後、婚礼の儀を挙げます」

姫様は…目を見開いていた。

そして、

「それでいいの?」

と、尋ねてきた。

まるで…私が中途半端な状態であることを見透かしているように。

あの、9年前のあの日と同じような大人びた口調で。







「…よいも何も…私に拒否権なんてありませんから。それに、私にとって好きな人ですもの」

そう、私にとっては好きな人。

「でも…」

実夏樹様…。

「相手の方にとって、私が好きな人でないのが…申し訳なくて…っ…」

泣かないと、決めていたのに。




そんな私を、姫様はそっと抱きしめてくれた。

「…辛いよね、相手が幸せじゃないかもって思うの。あたしもそうだった。あたしにとっての幸せは、蘭にとっての幸せじゃないんだって…思ってたから」

姫様は、絶対私よりも相手とすれ違った回数、期間が多い。

「でもね。自分の気持ちを正直に伝えないと、相手だって分かんないんだ」

日海が背中押してくれたんだよと。

だから今度はあたしが日海の背中を押してあげるねと。

あなたは笑った。

私の大好きな笑顔で。