源九郎は宿屋に出かけることを伝え、玄関を出た。




残念ながらとよは忙しかったらしく、顔を合わせることができなかった。




飯を食べている際、彼女の凛とした声が廊下に響き渡ったのを聞いた源九郎はそれだけで満足だった。






城下はすでに人の賑わいを見せていた。




店こそ開いていないが、その準備に追われていたり近所の人と楽しく談笑していたりと、城下の者はみな笑っていた。







三河もそこそこ栄えていたとは思うが城下人がここまで生き生きしているかといえば、断言できる自信はない。






やはり、これも政宗の器の広さとでもいうのだろうか―――――








―――――今日は伊達政宗に見定めてもらうのもあるが、それ以上に俺があいつを見定めるんだ。






源九郎はそう意気込んで城に向かっていった。