さっき彼が買っていった モンブランの香りが そよ風に乗って鼻腔をくすぐる。 普段なら好きな匂いだけど 今は気持ちが悪くなる。 耳元で、荒い息づかいが聞こえてきて 彼の左手が私の脇腹を撫で始めた。 「───っ!」 思わず突き飛ばそうとしたけど 右腕が捕まっているから そう簡単に動けるはずもなく。 左手が次第に上に向かってくる。 その手の薬指には、シルバーの 指輪が光っているというのに。